人類は、イースター島のモアイ像やミロのヴィーナスなど、巨大な石像から美しい彫刻を世界各地で作ってきた。それらは長い年月を経てもなお、圧倒的な存在感で人を感動させ、魅了する。彫刻には、バーチャルの世界では味わえない「何か」がある。
日本で最も注目され、世界的にも著名な若手現代芸術家である彫刻家の名和晃平は、「彫刻はある一つの体験を生み出す」という。
名和が「300年もつ彫刻を」というオーダーを受け、約1000日間に及ぶ制作期間を経て、最新作を完成させた。私は、名和の作品の完成イベントに参加するため、ソウルからバスに揺られること約1時間半、ソウルの南80キロにある天安(チョナン)へと向かった。
バスターミナルを降りると、街灯に「KOHEI NAWA」と書かれたのぼりが、まるで国賓を歓迎するかのごとく飾られていた。その先には、頭上高くにそびえ立つ名和の最新作「Manifold(マニフォールド)」。私は圧倒されて見入っていた。