≪「都市の中にアートがあふれ出ていく」≫
名和は、他の数々の作品作りにおいても3Dスキャンやさまざまなコンピューターソフトを駆使する一方、アナログ的な素材や技法と対峙(たいじ)するなどハイブリッドなアーティストといえる。
2010年の暮れ、天安のギャラリーのオーナーであるキム氏から作品のオファーがあった後、名和は何度も天安に来て打ち合わせをした。「Manifold」というテーマで作るということが決まって帰国するその日、東日本大震災が起きた。飛行機で飛んでいる間に地震が起こり、着陸後に被害状況が刻々とニュースで伝えられた。
デジタルモデリングを徹夜で仕上げている最中に原発のニュースなど恐ろしい話がどんどん伝えられた。この作品を作ってよいものか悩んだ挙げ句、前進することを決心。「僕自身が3・11以前、以後に関係なく、この社会で生きている中でできたイメージだったので、作らないといけないと思った」