一般的にろう者とは聴覚に障害があり手話を母語とする人を指すが、1880年にイタリア・ミラノで開かれた「世界ろう教育国際会議」(通称、ミラノ会議)で、手話よりも口話法(口の動きで言葉を読みとる読唇術)の方が優位であると決議されて以降、日本の教育現場でも手話は排除されてきた。
ろう者にとって手話の禁止は、コミュニケーションを剥奪され、社会での生活を著しく阻害するものだった。現在、ミラノ会議での決議は誤りであったとして却下され、さらに障害者権利条約で「手話は言語」と明記されるようになった。手話を法的に言語として認めている国は30カ国を超える。しかし、日本は障害者権利条約を批准しておらず、手話に関する法整備は全く進んでいない。
障害者に配慮した社会
鳥取県ろうあ団体連合会の戸羽伸一理事は、「一番ショックだったのは、町の中を歩いていた時に、知らない方に声をかけられたんですね。もちろん何を言っているのか分かりませんでした。私が聞こえないということが分かると、それで立ち去られてしまったんです。こういったことは何度もありました」と、手話を交えて自身の経験を訴える。聞こえないだけで敬遠されてしまう社会を変えていくことは、ろう者の長年の願いだ。