米国は学習した。世界各地に平時より即応部隊を置き、抑止力としたのである。今尚、在日米軍基地の兵力・兵站集積地としての戦略的価値は微動だにしない。そこに自衛隊の支援が加われば、米軍戦力は飛躍的に向上する。日本が集団的自衛権を行使できないと、在韓米軍も力を存分に発揮できないのだ。
朝鮮戦争でもう一つ、北朝鮮が前のめりになったのは韓国軍の弱さだった。確かに、米軍も戦車といった先端火力を、韓国軍の要請にもかかわらず供与しなかった。だが、韓国軍は大日本帝國(ていこく)陸軍で教育・訓練を受けた韓国人将兵を除き、士気・錬度共に低かった。現在の韓国軍も同じ欠陥を抱える。生死を共にするかもしれぬ在韓米軍の不安には同情を禁じ得ない。
朝鮮半島の政治・軍事上の弱さ、即ち《力の空白》により、日本も度々国家存亡の危機に追い込まれた。その自覚が無い韓国は“歴史的被害者”を演じるが、日本もまた「弱い朝鮮半島」の被害者である。