大韓帝國の存在は半島を不安定化させ、日本を三度目の戦争に巻き込むとの認識を、米国など国際社会が共有した結果でもあった。三次協約にまで発展する流れは、むしろ大韓帝國自らが呼び込んだ。併合にいたっては、反対していた初代韓国統監・伊藤博文(元首相/1841~1909年)を暗殺し、併合論を勢いづかせた。
今も昔も、朝鮮半島は日本の誠意や底力を見誤り、自ら墓穴を掘ってきた。それでいて、隷属を強いてきた中国など、日本以外の大国には媚(こ)びへつらう「排日・嫌日事大主義」は堅持する。朴槿恵(パク・クネ)大統領(61)は恒例の訪日を避け続け、米国の次に中国を訪れた。日韓共通の同盟国・米国ではバラク・オバマ大統領(52)に「北東アジアの平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たねばならない」と、米韓首脳会談にはそぐわない話を持ち掛けた。9月にはチャック・ヘーゲル米国防長官(67)にも同種の話をたたみ掛け、当惑させた。小学校低学年時、教室で飛び交った言葉を思い出す。
「いーけないんだ、いけないんだ、先生に言ってやろっ」
ただ“大人の付き合い”を期待できる人物もいる。韓国軍制服組トップの合同参謀本部議長・崔潤喜(チェ・ユンヒ)海軍大将(60)は、増大する北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対抗せんと「政治とは切り離して、軍事的に必要な部分は日本と互いに協力できるよう交流すべきだ」と述べた。「中国の軍事拡大が域内安全保障の懸念として台頭している」とも語っており、《力の空白》がいかに隣国に迷惑を掛けるか、理解しているようにお見受けする。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)