【国際情勢分析】
シリア情勢をめぐり、米国などによる軍事介入が秒読み段階とみられていた9月以降、化学兵器を国際管理するとの「ロシア提案」に沿って急転回した。米国による武力行使の可能性は遠のき、今月(10月)には化学兵器禁止機関(OPCW)がシリアで化学兵器の廃棄作業に着手。米国の機先を制する「外交的勝利」に沸いたロシアでは、今年のノーベル平和賞がウラジーミル・プーチン大統領(61)に授与されるべきだとの声まで出た。
対シリア問題で「貢献」
シリア内戦は8月21日、首都ダマスカス近郊で化学兵器が使用された疑いが浮上し、風雲急を告げた。バラク・オバマ米大統領(52)はこれに先立ち、化学兵器使用を「レッドライン」(越えてはならない一線)と表現し、強い措置を警告していたためだ。ただ、米国の計画した限定的な武力行使には欧州諸国でも支持が広がらず、オバマ政権が米議会の承認を得られるかも微妙な情勢だった。