ロシアは、このタイミングで動いた。セルゲイ・ラブロフ露外相(63)が9月9日、シリアのバッシャール・アサド政権に化学兵器の国際管理を提案したことを緊急声明で発表し、これを受けてアサド政権が化学兵器禁止条約に加盟することを表明。米露は2014年半ばまでにシリアの化学兵器を全廃するとの枠組みで合意し、これに力を持たせる国連安全保障理事会の決議も採択された。
この間の流れを表面的にたどると、確かに今回の機敏な動きは久々にプーチン外交の“スマッシュ・ヒット”だったといえるかもしれない。ロシアの一部団体や議員はプーチン氏をノーベル賞委員会に平和賞候補として推薦する書簡を送付し、OPCWへの授与が決まると「プーチン氏こそが受賞すべきだ」との反発が起きた。
下院議員の一人は露メディアに「(今回の決定は)世界の世論に耳を傾けず、米国一派の意思に従うノーベル賞委員会の、愚かさと無力を示した」と発言。「シリアの化学兵器廃棄に関する仕組みを始動させたのも、アサド大統領に化学兵器禁止条約への加盟を説得したのもプーチン氏だ」と主張した。