こうした応答が対応に苦慮するオバマ政権の姿を象徴している。事は機密情報の収集という「闇の部分」に関わるだけに、政権は個別の活動について肯定も否定もできない状況だ。
その裏では欧州各国と折衝し、着地点を探っている。「同盟国も米国に対し情報収集活動を行っている」と反論し欧州側の批判を封じようとしてもいる。
連邦議会には、通話記録収集などプライバシー侵害への国民の批判を背に、超党派による2法案が提出された。NSAへの監視を強め、通話記録収集などを制限する内容が含まれる。だが、情報収集により水際でテロを防いだ例は「数え切れない」(ケリー国務長官)うえ、軍事力と情報力こそが「超大国」の源だ。
このため、共和党のピーター・キング下院議員は法案に反対の立場で、「欧州が安全を享受できるのは米国が収集、提供した情報のおかげで、欧州に謝罪し防戦に回る必要はない」と話す。かたや民主党のファインスタイン上院情報特別委員長は、「同盟国の首脳への盗聴は不要で、情報収集活動の監視を強化すべきだ」と訴えている。(ワシントン 青木伸行/SANKEI EXPRESS)