≪対応策なく危機管理に課題≫
米国家安全保障局(NSA)が日本の情報を監視していたとの米紙報道を受け、政府は11月5日までに米側に事実関係の照会を行った。世界最高レベルの諜報機能を持つ米国が監視活動を行っているのは「周知の事実」(外交筋)だが、万全の対応策はなく無防備なのが実情。諜報活動を相互に行わないとの協定もなく、日本政府の危機管理が改めて問われている。
「一層緊密に意思疎通をするよう米側に申し入れている」。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は5日の衆院国家安全保障特別委員会で、日本も監視対象との報道について、こう釈明した。菅氏は詳細な説明を避けたが、申し入れは、同盟国への諜報活動に対する「抗議の意味合いもあった」(政府高官)という。
日本政府は、米中央情報局(CIA)元職員による機密情報の暴露が表面化した6月以降、米側への照会を繰り返してきた。「日本の要人の諜報活動はしていない」との言質は得てきたが、今回の米紙報道前に詳細な実態を把握できていたわけではない。