台風30号のコース=2013年11月8日、フィリピン・レイテ島の中心都市タクロバン【拡大】
路上に座り込んで泣きじゃくる少年がいた。母親と1歳の妹が不明になったというデルオ・アルカイン君(14)だ。
「竜巻と津波が同時に襲ってきたようだった」。トタンと木材だけの家は全壊。アルカイン君は、流された屋根にしがみついて難を逃れた。
台風が去った後、いつもの南国の強い日差しと青空が戻ったタクロバン。父と2人の兄は生き残り、今は路上でテント暮らしだが「家族で一緒に過ごせる日は二度と戻ってこない」。そう言って、また頬をぬぐった。
一方、屋根が飛ばされ、壁が崩壊した市中心部の大型ショッピングモールには、11日も1000人以上の住民が押し寄せ、食料や医薬品などを次々と持ち出していった。店内には武装した集団がいて、治安悪化が懸念される。
家族は無事だったという20代の女子学生は、兄と2人でショッピングセンターに足を運んだ。「食料が届かない。皆生きるために仕方なくやっている」 (タクロバン 共同/SANKEI EXPRESS)