【Viva!ヨーロッパ】
フランス革命100周年の1889年に、パリのエッフェル塔を建造したギュスターブ・エッフェル(1832~1923年)は、鉄骨の構造をむき出しにしたデザインを好んだとされる。世界中の国々で駅舎や教会、ホテルなどの巨大建造物を設計し、近代建築の発展に大きな貢献をした彼の名がいま、欧州とロシアが勢力圏を争う境界の場所で、脚光を浴びている。
130年を超す鉄道橋
1991年、ソ連から独立を果たした国、モルドバ。ソ連時代から国境検問所が置かれた西部ウンゲニに、隣国ルーマニアとをつなぐ鉄道橋がある。両国の境界線となっているドナウ川の支流、プルート川に架かる長さ数百メートルの橋梁(きょうりょう)。むき出しの鉄骨を格子状に組み合わせた白色のこの建造物こそが、エッフェルがパリのシンボルとなった赤色塔より12年前に建造した「エッフェル橋」だった。