人口4万人の小都市ながら、ワインや農作物が名産のウンゲニは橋を新たな名所としてPRし、観光客を呼び込もうとしている。昨年夏、フランスとルーマニアの駐在大使を招き、橋のたもとで、建造135周年を記念する行事を開催したウンゲニのアレクサンドル・アンブロス市長(47)がこう言った。
「EU(欧州連合)諸国で私たちは、橋のプレゼンテーションを行い、モルドバに、エッフェル橋があることが広く知れ渡るようになった。この橋は、わが国とEUを結ぶ懸け橋になるはずだ」
市長が、エッフェル橋に期待をかけるには訳がある。モルドバはいま、疲弊した経済を立て直すために、長らくこの国を支配したロシア(ソ連)の地域圏から脱して、欧州統合への道を進んでいる。現政権は今月(11月)末、バルト諸国リトアニアの首都ビリニュスで開かれる「東方パートナーシップ首脳会合」で、将来のEU加盟を目指し、その前段となる連合協定(AA)の仮署名を行おうとしているのだ。