安保局長に元外務次官の谷内(やち・しょうたろう)正太郎内閣官房参与(69)が就任し、礒崎(いそざき)陽輔首相補佐官(56)が国家安全保障担当の補佐官を務める予定だ。
≪縦割り解消 情報一元化で迅速対応≫
安倍晋三首相(59)が第1次政権時代に取り組み、挫折した日本版NSCの創設が決まった。7年越しの宿願達成だが、日本を取り巻く安全保障環境が刻々と変化する中で、外交・安全保障政策の司令塔はどう機能するのか-。中国が尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定した例を基に検証した。
中国の防空識別圏設定は端緒をつかむことができたケースだったかもしれない。習近平国家主席側近の軍関係者が2月、国際情報紙の環球時報に「防空識別圏を設けるのは日本人の特権ではない。私たちも設定することができる」と寄稿していたからだ。
政府はNSC発足前の現在も、そうしたさまざまな情報を日々把握している。だが、1月のアルジェリア邦人人質事件では各省庁が情報を個別に官邸に報告。「断片的な情報に混乱し、対応に手間取った」(政府高官)との苦い教訓があった。