NSCは、省庁縦割りの仕組みを改め、情報を一元化するのが最大の特長だ。今回のケースを当てはめると、まず1次情報が事務局の国家安全保障局に集約され、「中国・北朝鮮」部門が中心になって米国、英国のNSCなど海外機関の機密に軍事的な知見も加味して分析する。それを基に防空識別圏設定を想定し首相、官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」を機動的に運営。航空自衛隊の対領空侵犯措置や外交ルートを通じた中国政府への抗議など、対処方針を事前に決めておくこともできる。
中国が防空識別圏を設定した11月23日以降、一部の航空会社は中国側に飛行計画を提出した。中国が「武力による威嚇」をちらつかせる中、安全な運航を優先したためだが、中国の不当な主張に従ったと受け止められかねない事態だった。当初は政府から計画提出「禁止」の明確な指示もなく、国土交通省が業界団体を通じて計画を提出しないよう各社に要請したのは26日になってからだった。