環境保護団体、野生生物保全協会(WCS)でゾウやゴリラの研究に取り組むマリー・マングエット(28)は「この地域の生態系はゾウなしには存在し得ない。ゾウがいなくなれば、森も湿地も駄目になり、やがては人々の暮らしにも影響が出る」と話す。
周囲で森の伐採が広がる中、ヌアバレ・ンドキは1993年に国立公園に指定された。2012年には互いに国境を接するカメルーン、中央アフリカとの国立公園などを合わせた250万ヘクタールの土地が「サンガ川流域の3カ国保護地域」としてユネスコの世界自然遺産に登録された。
密猟
安泰と思えた遺産地域をことし5月、衝撃的な事態が見舞った。中央アフリカ共和国の首都を制圧して大統領を国外に追放し、暫定政権を樹立した反政府勢力「セレカ」の兵士らが、多数のゾウが姿を見せることで知られたサンガ川流域の「サンガ・バイ」に密猟者を連れて侵入。分かっているだけで26頭のゾウを殺し、象牙を持ち去った。
中国やタイ、日本などアジアでの需要を背景に近年、密売象牙の価格が高騰している。コンゴなどの生息国で拡大しているゾウの密猟は、この聖地でも無縁ではない。