≪大観衆が熱戦作る 「8万人じゃ小さすぎる」≫
ハイパントが上がる。4万7000人の観衆が固唾をのむ。好キャッチに4万7000人が歓声をあげる。4万7000人の悲鳴、4万7000人の拍手。明治の校歌、早稲田の応援歌の大合唱。1日の早明戦をロースコアの緊迫感あふれるゲームに演出したのは、国立競技場のスタンドを満員に埋めた大観衆だ。
両校の学生やOBの努力も大きかった。ラグビー部は公開練習で切符を売り、各サークルも応援した。試合後には歌手、松任谷由実がフィールドで「ノーサイド」を歌うことも決めた。1980年代には国立の黄金カードだった満員の早明戦をよみがえらせるため、両校関係者が奔走した結果だった。
両チームもその期待に応えた。いや、満員のスタンドが凡戦を許さなかったともいえる。大観衆の前では誰一人手を抜くことが許されない。
国立競技場は来年から改修工事に入る。新競技場の収容人員は8万人。政治家や評論家から、そんなに大きい器が必要なのか、と疑問を呈されている。
河野太郎議員が座長を務める自民党の無駄撲滅プロジェクトチームでは新国立競技場について、「8万人を集められるミュージシャンは少ない」「8万人のスタンドを必要とする大会が年にどれだけあるのか」といった声が出たという。