【KEY BOOK】「たまたま」(レナード・ムロディナウ著、田中三彦訳/ダイヤモンド社、2100円)
酔っ払いの千鳥足には法則がないように見える。あまりにランダムだ。世の中の出来事にもランダムな現象は少なくない。それでも、ある程度の予測がたつのではないか。カーネマンとトヴァスキーがその秘密に挑戦した。本書はその意味するところを説いたものだ。本書を読んでいくと、「ありきたり」と「変わった」とのあいだには相関関係があるということに納得がいくだろう。「たまたま」とは継続現象がおこす必然的な変化なのである。
【KEY BOOK】「偶然を飼いならす」(イアン・ハッキング著、石原英樹・重田園江訳/木鐸社、4725円)
偶然や統計をめぐる本は眉唾ものが多いのだが、本書は説得力がある。まず「平均で見る」ことと「正常と異常で見る」ことが何を意味するのかが明かされる。ついで統計学が異例や異常を排除するためにナポレオン時代の統計官僚たちによって組み立てられたことが立証される。そのうえで、「偶然」を飼い馴らそうとするのは危険すぎることが警告される。『何が社会的に構成されるのか』も読みたい。