【KEY BOOK】「偶然性と運命」(木田元著/岩波新書、756円、在庫なし)
古来「偶然」や「たまたま」は得体の知れないものだった。また「運命」も正体がわからぬものだった。そこで哲学は「理性」によってこれをねじ伏せようとしたのだが、かえって逆に「超越者」「非合理」「狂気」を浮上させることになった。
こうした問題をバランスよく扱うにはかなりの力量が必要だが、本書はそこをうまく捌いている。とくに偶然と必然のあいだのヨーロッパ的な「自由」「個人」に対して、九鬼周造らの日本的な偶然の哲学を説くところに注目。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)