【続・灰色の記憶覚書】
この1カ月、我が家で朝飯を共にする訪問者がある。共にすると言っても同じものを食べるわけではなく、彼が、あるいは彼女なのかもしれないが、とにかくその訪問者が食べるのはシーバである。つまりキャットフード、だから猫、要するに野良猫なのだけれど、これが1カ月程前の或る朝庭にひょいと現れ、伸びたり縮んだりお日様に当たっているのがのんびりと面白かったので、実家の猫を預かった際に残ったキャットフードをちょいと与えてみると、それほど警戒もせずにむしゃむしゃやり始めた。おそらくこうやってそこかしこで人間に餌を与えられたりしながら生きているのだろうけど、毒でも盛られたらあっという間にやられてしまうじゃないか、人を疑うということも学ばないと危ないなあなどと思いながら、安全なシーバを貪(むさぼ)る野良猫を眺める。
深夜の意外な訪問者
翌日もまた翌日も、餌を求めてやってくるようになった野良猫を面白がったのは私よりも妻で、毎朝庭を覗くようになった。