前不動、中不動、後不動の3石からなる不動岩の付け根には不動神社の拝殿があり、山伏などの行者の修験場だったことがうかがわれる。この独特の形態からして、おそらく摩羅信仰があったに違いない。人智を超えるサイズの奇岩や巨石には神が宿る。そういうものを見つけると、人間は自然に手を合わせ、集い、そこに信仰が生まれ、文化が育まれる。不動岩に案内してくれた地元の先生によると、子供の頃、この岩にみんなで登って遊んだそうだ。遊び場というのは、自然から学びを得る場所にもなっていたはずだ。自然信仰はプリミティブなもので、そのプリミティブさゆえに、信仰という崇高なものから、行者の滞在、子供の遊び場所までを受け入れ、生活文化のなかに落とし込まれ、一つのリズムを刻んでいる。
≪人が育み、人を育む風土≫
かつて西日本一の生産量を誇った山鹿傘も、戦後の洋傘の普及により途絶えてしまった。しかし今、一人の若い職人、吉田崇さん(40)が山鹿傘の復活に励んでいると聞き、工房にお邪魔した。