今回の公演は建長寺方丈という歴史的建造物の内部で行われたため、実行委員会が広く寄付を募り、組み立て式の屋内用神楽舞台を製作した。
この舞台は今回限りではなく、今後も全国各地の公演で活用されるという。そこには震災の体験を風化させないという強い思いもまた、込められている。
≪「相槌」は飛び散る炎のごとく≫
小さな工房に火の玉が飛び散る。カメラを構える人たちが思わず「うわっ」と声を上げ、後ずさった。街を吹き抜ける風も一段と冷たさを増した師走の8日午前、相州鎌倉の刀鍛冶の伝統を受け継ぐ正宗工芸で、ふいご祭が行われた。
炭火の炉に空気を送り込む「ふいご」の神様に感謝をささげる伝統の行事。しめ縄が張られた工房で、第24代刀匠正宗、山村綱廣さんが1300度に熱せられた鋼の板を取り出し、真っ赤な表面を小さな槌(つち)でこんこんと軽くたたく。「ここを打て」というその指示に合わせ、2人の弟子が交互に槌を振り下ろした。
お弟子さんたちが振り上げたのは相槌で、山村さんの持つ小さな方が主槌だという。相槌を打つというと今は、相手の話に適当にうなずいて聞き流すような語感もあるが、実際にはご覧のように、火の玉が飛び散る激しい業だった。人の話は心して聞こう。そんな厳粛な気持ちにもなる。