スクルージは犯罪者や日雇い女や幼くして死んだ少年のあいだをさまよいながら、最後に荒れ果てた墓にやってきた。そこには自分の名前が刻んであった。スクルージは激しい衝撃に襲われ、夜明けを迎えた。
この話は、スクルージがそれまでの自分の悪態いっさいを一夜にして愕然と感知して、その後はティム少年の仮の父となり、ついには「ロンドンで一番クリスマスの楽しみ方を知っている人」と言われましたとさ、でおわる。クリスマス・イヴにふさわしい超名作だ。
【KEY BOOK】「クリスマス・キャロル」(チャールズ・ディケンズ著、村岡花子訳/新潮文庫、389円)
ご存知、ディケンズのクリスマス・イヴの驚くべき物語。強欲で冷酷な守銭奴のスクルージが、自分の過去・現在・未来を現出させるクリスマス・スピリット(精霊)に出会って、一夜のうちに全人生を振り返りつつ、目覚めていく。一度読んだらゼッタイに忘れられない。もし読んでいないなら、諸君はこのまま人生をムダにすると覚悟したほうがいい。ぼくはサンタクロースの母に『二都物語』を贈られ、しばらくたってこの本を読んだ。