【KEY BOOK】「クリスマスの文化史」(若林ひとみ著/白水社、2100円)
クリスマスは「クリストのミサ」の意味。もともとクリスマスは「降誕」を記念する日であって、イエスの誕生日ではなかった。それが12月25日のイエス生誕に結び付けられたのは、実にさまざまにシナリオを複合化したキリスト教の戦略があった。しかしいったん確立したクリスマス信仰はしだいに世界を席巻していった。著者の若林さんは宮城出身のドイツ文化研究者で、多くのクリスマスものを書き、癌で亡くなる直前にも『名作に描かれたクリスマス』を遺した。
【KEY BOOK】「サンタクロース伝説の誕生」(コレット・メシャン著、樋口淳・諸岡保江訳/原書房、2854円、在庫なし)
北フランスの小さな町の司祭だった聖ニコラウスは、迷子の子や放浪する子を家に送り届けたりしていた。そのニコラウスを偲(しの)ぶ子供のための祭りが催された。ここに、幼子イエスの生誕の物語が重なって、いつしかクリスマス・イヴに子供にプレゼントを配るサンタクロースの誕生となった。これはひとつの仮説だ。実際には、世界中のサンタクロース伝説が各地で名前を変えて散らばっている。