異種配合音楽の創造
このロバート・グラスパー・エクスペリメントのベーシスト、デリック・ホッジが2014年初頭に来日を果たす。ロバート同様、名門レーベルのブルーノートからソロアルバムを発表しているデリックだが、その音楽性はジャズとヒップホップやR&Bといったコンテンポラリーなブラックミュージックを結びつけたロバート以上に雑食的で、さらにジャズの先鋭性を拡張している。ロバート・グラスパー・エクスペリメントでの経験を基調にしながらも、ラップ、ブレイクビーツ、ファンク、フュージョン、さらにはフォークのエッセンスまでを取り入れたクロスオーバーな音楽センスでオリジナリティーを確立しているのだ。
この20年、ジャズを折衷主義音楽として見直し、ダンスミュージックとしてよみがえらせてきたのはDJたちであり、多彩な音楽とジャズを融合させてきたのも、楽器を演奏しないDJ系の音楽プロデューサーであった。このデリックによる異種配合音楽の創造は、まさに演奏者の復権であり、彼らがDJ的な自由度を獲得し、主導権を奪還せんとする高らかな宣言のようでもある。