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音のない世界から「ありのまま」を撮る 「宝箱-齋藤陽道 写真展」 椹木野衣 (1/5ページ)

2013.12.25 17:30

「宝箱ー齋藤陽道_写真展」の会場。作品の一枚、一枚が、齋藤の気持ちをみるものに伝えようと迫る=東京都渋谷区のワタリウム美術館(齋藤陽道さん撮影、提供写真)

「宝箱ー齋藤陽道_写真展」の会場。作品の一枚、一枚が、齋藤の気持ちをみるものに伝えようと迫る=東京都渋谷区のワタリウム美術館(齋藤陽道さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 「宝箱-齋藤陽道_写真展」__「無音楽団」シリーズから(齋藤陽道さん撮影、提供写真)
  • 「宝箱_齋藤陽道_写真展」__「感動」シリーズから(齋藤陽道さん撮影、提供写真)
  • 「宝箱_齋藤陽道_写真展」__「せかいさがし」シリーズから(齋藤陽道さん撮影、提供写真)
  • 「宝箱_齋藤陽道_写真展」__「せかいさがし」シリーズから(齋藤陽道さん撮影、提供写真)
  • 「宝箱_齋藤陽道_写真展」__「せかいさがし」シリーズから(齋藤陽道さん撮影、提供写真)
  • 写真家、齋藤陽道(さいとう・はるみち)さん(ワタリウム美術館提供)

 写真を志す以前、齋藤陽道がプロレスの門をくぐっていたと知って、ネットで探して見てみた。リングネームは「陽ノ道」だった。私が見たこの試合で、陽ノ道はゴングが鳴るなり体勢を崩され、絞め技に落とされて床をタップ、みるまに降参した。絵に描いたような「瞬殺」だった。

 試合終了後、勝者のメッセージが手書きのマジックボードで陽ノ道に伝えられるのが映し出された。試合後の熱狂に似合わぬ奇妙な静寂感。そう、陽ノ道は耳が聞こえない。これは障害者プロレス「ドッグレッグス」での一幕なのである。そこには、なにかさわやかな残酷とでも呼びたい感触が残った。

 その後、陽ノ道は齋藤陽道に戻り、2009年には公募の写真展、キヤノン写真新世紀でみごと佳作に入選。あくる年には優秀賞に選ばれ、その名を世に広めた。

 健常者との間の「幕」

 ちょうどその年から、僕はこの写真賞の審査員を務めていたので、齋藤自身と作品には会場で初めて出会った。審査は、グランプリ候補に選ばれた優秀賞4人が東京都写真美術館のホール壇上に立ち、自分の写真についてひとりひとりプレゼンテーションを行う。その様子も含めて評価の対象となるのだが、齋藤には他の候補者のような「声」がなかった。みずからの手話と代読者を立て、その場に臨んだからである。その後の受賞者歓迎会でも、彼が筆談で審査員や他の受賞者と旺盛に「話し」ていたのをよく覚えている。

音楽を主題に連作

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