〆切に追われて、私は考えた。
仮に、自分が「小説を書かなければいけない時ほど、あえて机に向かわない」というスタイルを実践してみたとしたらどうなるだろう、と。これは脳科学的にも、かえって効率がいいと証明されている方法のはずだ。机に向かわないのだから、当然執筆時間はグンと少なくなる。ということは、自由な時間が大幅に増える。私の生活はどんなふうに変化するのだろう。
めくるめく一週間
まず、空いた時間で月曜日には自動車教習所に通うことができる。行きたいと思いながら断念し続けていた教習所。4、5時間ほどと考えれば、十分に捻出することが可能に思える。
火曜日には、ちょっとした旅行をするという習慣も設けられる。遠出は無理かもしれないが、行ったことのない駅まで乗り継いで、その土地の商店街を駆け抜けることくらいはできるのではないか。この場合、わが家を中心に、自転車のタイヤの軸をイメージして放射状に移動することを心がける。そうすれば寄り道の誘惑に打ち勝つこともできるし、休憩時間の終わりまでに原稿の前まで戻り、何食わぬ顔で仕事を再開できるだろう。