――執筆のきっかけを教えてください
天童荒太さん(以下天童) 20代の頃からいつか絵本を作りたいと思っていました。『歓喜の仔』を書いてるとき、アイラブユーに代わる言葉を探していて、「どーした」という言葉がふっと降りてきて。僕自身、考えたら一番ほしいのは「どーした」という言葉でした。打算や掛け値なく、「どーした」と聞いてくれる人がいっぱいいたら、それだけで幸せなんじゃないか。そう思ったとき、絵本を作ることができるという直感を得たんです。
――「どーした」の一言が、結果的に人を幸せにする
天童 ゼンは困っている1人の子のために声をかけただけで、自分自身ではエライことをしたなんて少しも思っていない。しつこいと、うざいし、こっけいにもなる。「どーした」を聞きまくるゼンの勢いが、ワーッと周りに広がって、奇跡的な結果につながっていく。そんな物語を作るには、ある種の陽気さを持った絵が必要です。明るくのびのびと、美しい色彩と、深く世界をとらえる感覚で読者に届けられる人…長年自分自身もファンだった荒井良二さんしかいないと思った。