――明るくのびやかな画風の荒井さんですが、今回の作品には、現実感がふと顔をのぞかせます
荒井良二さん(以下荒井) 今回ののテーマは、児童虐待というシリアスなテーマです。通常の絵本にはない違和感を与えることで、今回の作品のテーマに結びつくのではないかと意識して、ちょこちょことリアリティーを挟んでいきました。普通の絵本は「ページを開くと、非日常的な物語が展開する」という常識がありますが、そんな中に生活感というか、現実感を加味することで、「あれ、ちょっと今回は普通の絵本と違うぞ」と違和感を持つことになる。
天童 僕が小説を書くときに意識するのも「どれだけ上手に違和感を入れるか」ということ。「ん?」とページをめくる手が止まることで、心にひっかかっていく。
絵本は「遊び場」
――荒井さんは、最初に天童さんからお話が来た時、どう思いましたか
荒井 驚きましたけど、僕も天童さんのファンだったから、うれしかった。僕は絵本以外のジャンルの人と組むのが好きなんです。絵本って、みんなが立ち寄れる、空き地や公園のような遊び場だと思っている。いろんな人たちがそこに来て、遊んでいく。