最近は見かけることが少なくなってしまった、新年の家の玄関先に飾られるしめ縄。とあるきっかけがあるまで、僕のしめ縄に対するイメージは単に形式的に飾るもので、形がどうこうというのも特に気にしたことはなかった。しかし、しめ縄が特集された『民藝』という機関誌の中で出会ったものは、どれもユーモアに溢(あふ)れ、それでいて綺麗なデザインの数々…。洗練された美しい品々に出会い、とても衝撃を受けた。
すぐさま買いたいと思い、いろいろ探したのだがなかなか見つからず、ようやく探し当てた“海老飾り”と呼ばれる近畿地方に伝わるしめ縄。一般的なしめ縄のイメージとは違うかも知れないが、不思議なその造形に引き込まれる魅力を感じ、一目惚れして買ってしまった。
もう一度大切に
そして今回もう一つ紹介するのが、三重県・伊勢地方に伝わるしめ縄。伊勢では、実は今でも多くの家の玄関先にこれが一年中飾ってある。それは確かに神事に関係するものかもしれないが、だからこそ圧倒的に美しく、限られた素材の中でどうやって作り出すかという知恵に、道具やものづくりの普遍性を感じざるを得ない。なので、一年の最初の連載にもっともふさわしいのではないかと思い、取り上げた。