2013年11月8日、観測史上まれに見る超大型台風がフィリピンを襲った。最大瞬間風速100メートル超にも及ぶ台風30号(通称ハイエン)は、死者6000人以上、行方不明者約2000人という甚大な被害をもたらした。7000以上の美しい島々からなるフィリピン。台風の直撃を受けた中部の島々では、強風と高潮の影響で多くの家が流され、住む家はおろかコミュニティー全体が洗い流されてしまったところも少なくない。「この国で生まれ育った私にとって台風は慣れっこのはずでしたが、ハイエンのような恐ろしい台風は初めてだった」と、エリザベスは語り始めた。
惨状を目の当たりにして
「被害発生直後、私は緊急対応チームの一員として、被害が最も大きいとされたレイテ島に向かいました。ワールド・ビジョンが活動する地域に住む子供たちの無事を確認するためです。しかし、その行程は予想以上に厳しく、レイテ島に到着するまでに丸二日を要しました。
ようやくレイテ島に着いた私は、とてつもなく破壊された状況に茫然(ぼうぜん)となりました。住む家をなくした人々、行くあてもなくさまよう子供たちの姿を目の当たりにして、私の心はちくちくと痛み、自分の無力さを痛感しました。家も学校も破壊されてしまったため、子供たちは学校に行けないかもしれません。