経団連は1月9日、米倉弘昌会長(76)の後任に東レの榊原定征(さだゆき)会長(70)を起用することを明らかにした。9日までに後任の指名権を持つ米倉氏が榊原氏に就任を打診し、内諾を得た。東レからの経団連会長は初めて。化学メーカーからの選出は米倉氏の住友化学に続いて2代連続。14日の会長・副会長会議に報告し、6月上旬の定時総会で正式決定する。任期は通常2期4年。
榊原氏は炭素繊維など付加価値の高い先端材料を東レの主力事業に育て、名門「東レ」を復活させた経営手腕に定評がある。財界の論客としても知られ、安倍晋三政権の産業競争力会議の民間議員を務めるなど政府とのパイプも太い。
経団連では2007年から23年まで副会長を務め、現在は顧問。従来の経団連会長は現役の副会長から選ばれるのが通例で、OBからの起用は「異例中の異例」(関係者)だ。次期会長の選考基準を「多くの技術のすり合わせで成り立っているものづくり企業の経営者」と公言していた米倉氏が今年に入り説得した。
≪苦肉の人選 モノづくりへの情熱が決め手≫
経団連の次期会長が、元副会長の東レの榊原定征(さだゆき)会長に決まった。副会長OBを会長に起用する異例の人事は、米倉弘昌会長が“意中の人”だった日立製作所の川村隆会長に後継を断られ、旧知の盟友に頼った苦肉の人選にほかならない。