イノベーション期待
だが名門とはいえ、東レの連結売上高は約1兆6000億円、従業員は約4万人で、米倉氏が会長の選考基準に挙げた「日本を代表する製造業」としては小粒の感が否めない。日本最大の経済団体である経団連で異例の起用となった榊原氏が、どれだけ組織の求心力を集められるかは未知数だ。榊原氏には安倍晋三政権と歩調をあわせてデフレ脱却に向けた道筋をつけるとともに、経団連の運営のあり方の改革も求められる。
東レのコーポレート・スローガンの「イノベーション・バイ・ケミストリー」(化学による革新と創造)と同様に、財界総本山の経団連で榊原氏がイノベーションをどう実現するか。榊原氏のリーダーシップに注目が集まる。(早坂礼子/SANKEI EXPRESS)
■さかきばら・さだゆき 1967年名古屋大大学院卒、東洋レーヨン(当時)に入り、経営企画室長、技術センター所長などを経て2002年社長。10年から現職。神奈川県出身。