元日早朝、恒例の「国旗」掲揚式に呉敦義副総統(左)、江宜樺行政院長(右)らと出席した馬英九(ば・えいきょう)総統(中央)。この日に行った年頭の演説では「全民あげての経済努力」を訴えた=2014年1月1日、台湾・台北の総統府前(吉村剛史撮影)【拡大】
演説の中で馬総統は、天然資源に乏しく、内需も限られている台湾の経済成長は、海外との貿易や投資などを頼みとする以外にないと強調。日中韓のFTAに向けた動向などと照らし、台湾の貿易自由化の取り組みが停滞すれば「手遅れになってしまう」と地域経済で孤立する危惧に触れ、TPPや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加に向けて、より具体的な戦略を定める意向を示した。
市場開放、野党に呼びかけ
市場拡大については、馬政権が08年の発足以来、経済を軸に改善してきた対中関係のさらなる強化の重要性にも踏み込み、昨年(2013年)6月、中台の窓口機関トップが上海で調印したものの、台湾の立法院での承認が遅れているサービス貿易協定にも言及した。
馬総統は「与野党協力して台湾の経済発展に有利な議題を迅速に通過させるべきだ」として、反対している野党にも立法院での早期承認を呼びかけた。サービス貿易協定は電子商取引や医療、旅行業など、開放項目数は中国80、台湾64と台湾側に有利な取り決めだが、野党は「中国による統一工作」「大企業優先で、台湾の弱い産業にとっては打撃が大きい」と反発しており、立法院での採決は今春以降になると見られている。