「私がこの連作で取り上げた肖像画は、すべて普遍の美をたたえています。人文主義、ヒューマニズムの時代を代表し、人間の尊厳を高らかに示し、文化の洗練を象徴しています。ここに現代人の顔や風景を合わせることで過去と現在を衝突させ、時のカオス、混沌を生み出そうとしました。人類とは全員が乗る車でどこかに進んでいるようなものだと考えることができます。時のかさなりの中で今を映し、私たちが現在どこに到達し、どこに向かっているのかも示すことができればと考えました」
そう語るピガールは、今回の創作の出発点には3年前の東日本大震災の記憶があるという。
「東京の有楽町で震災に遭遇し、衝撃的な経験をしました。それでも破壊や悲劇を暴力的に表したいとは決して思いませんでした」
揺れる光で示された東京の明かりは、高度なテクノロジーで守られた東京という都市へのオマージュであり、生をポジティブに示すソフトな表現に努めた。
「肖像画は病や戦の厄災から逃れたことに感謝の意を示し、祈りをささげるためのものでもあり、私の作品も生きていることの喜びを表し、希望や未来へのまなざしをたたえたものでありたいと願いました」