「フラジャイル・ファイブ」を中心に組み込んだMSCI新興国株式指数(図参照)は、先週末時点で昨年(2013年)末から5%、直近の高値だった昨年(2013年)10月から9%も低下した。これは米連邦準備制度理事会(FRB)による量的金融緩和の縮小を先取りした動きとなっており、これまで低金利の米ドルや円で資金調達し、新興国の証券に投資していたマネーの逆流を意味する。こうした新興国に共通するのは、中国を輸出先や投資主として抱えている点だ。「影の銀行(シャドーバンキング)」に代表される中国の不良債権問題に対する懸念が1月半ばに強まり、中国経済への不安が新興国に波及して新興国売りを招いた側面もある。
新興国売りは、米国など先進国の株安にもつながっており、海外売上高比率の高い企業が株価を下げている。FRBによる量的緩和からの出口戦略が進むうえに、不良債権問題を抱え込んだ中国の金融システムがその馬脚を現わし、世界中にじゃぶじゃぶとあふれていた過剰な緩和マネーによる「過剰流動性バブル」がついにほころびを見せたのだ。(SANKEI EXPRESS)