北欧の玄関口、デンマークの首都コペンハーゲンを起点に鉄道周遊券「ユーレイルパス」を利用して北欧を縦断する旅に出た。目指すは北極圏。そして、目的はノルウェーでオーロラを見ることだ。
列車はコペンハーゲン中央駅を午前9時過ぎに出発。在来線でありながら、通勤客だけでなく旅行者も利用するため、通常のベンチ状座席のほかにクロスシートもある。シルバーの車体に黒いラインの入ったおしゃれな列車だった。
走り出してまもなく国境の橋「オーレスン・リンク」に差し掛かった。橋は、三角形の持つ独特の性質を利用したトラス橋なので車窓からの眺めはあまり楽しめない。橋を渡ると列車はあっという間にスウェーデンのマルメ中央駅の地下ホームに滑り込んだ。
コペンハーゲンから約30分、途中でパスポートのチェックもなければ荷物検査もない。欧州の国々を自由に行き来できる「シェンゲン協定」の加盟国間では、国境の検査は原則として行われていない。ポケットに入れたユーレイルパスが唯一のパスポートだった。