また、機構東京支社担当者は、特捜部などの調べに「(14年度末の)北陸新幹線開業に間に合わせたかった」と供述し、予定価格を業者側に漏らしたことを認めている。入札不調で工事が遅れることを懸念して談合を主導していたとみられ、特捜部は官製談合防止法違反容疑でも捜査を進める。
≪工期遅れ懸念 機構側から「天の声」≫
北陸新幹線の融雪設備工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部などは2月4日、国土交通省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」や設備工事業者など、関係先の家宅捜索に乗り出した。大型公共事業をめぐり、利益を確保したい業者側と、入札不調で工事を遅らせたくない機構側。官と業がもたれ合う旧態依然とした官製談合の構造が浮かんだ。
中華料理店で「密談」
2011年9月。東京・日本橋の高級中華料理店に、十数人のスーツ姿の男が集まった。男たちは設備工事業者の担当者。談合を取り仕切る「幹事社」を務めた高砂熱学工業(東京都千代田区)、新日本空調(東京都中央区)、ダイダン(大阪市)の3社の号令で一堂に会していた。