入札不良「困る」
機構側が予定価格を漏らしていた背景には機構内部の“事情”があるという。
入札された価格がすべて予定価格を上回るなどして不調に終わると、再入札を行うまでに最低でも2カ月を要する。北陸新幹線は14年度末の開業を予定しており、入札不良が次々と発生すると開業時期に影響を与える可能性がある。
北陸新幹線は、機構の前身の日本鉄道建設公団時代の1973年から持ち上がった事業。談合に参加した業者の関係者は「40年に及ぶ事業の中で融雪設備工事はその最後の工程。開業遅れは許されないという重圧が機構側にあった。官としては絶対に受注してもらわなくては困る状況だった」と話す。
これまでの特捜部や公正取引委員会の聴取に対し、談合に関与した設備工事業者はほぼ全社の担当者が談合の事実を認め、機構関係者も官製談合の実態があったことを供述している。
特捜部などは談合に機構の担当者だけでなく、組織的な関与がなかったかも調べる方針だ。ある検察幹部は「悲願の新幹線開業に間に合わないからといって、談合で入札を円滑に進めようとした実態が事実なら、看過できるものではない」と話している。(SANKEI EXPRESS)