世界5大バレエ団の一つアメリカン・バレエ・シアターでソリストを務める加治屋百合子(かじや・ゆりこ)さん。3年ぶりの引っ越し公演で再度の全幕主演を果たす(伴龍二撮影)【拡大】
「厳しい要求が突きつけられるのは可能性があると期待されるからです。昨日よりも今日、今日よりも明日と進んでいくことに大きな喜びがあり、バレエを続けてくることができました」
習い事の一つとして8歳でバレエを始め、父親の仕事で中国に渡ると、通常の勉強もできるからと上海舞踊学校に学んだ。家族は1年の在任を終えると帰国したが、たった1人で中国に残ってバレエに打ち込んだ。
「途中で投げ出したくないという一心でした。中国全土から選ばれた精鋭が集まり、ついていくのがやっとでしたが、一つ、また一つとできることが増えるに連れ、いつの間にかバレエが心から好きになりました」
経験、記憶とともに深い思いを
中国代表として臨んだローザンヌのコンクールでは必ず勝つことが求められたが、バレエが好き、前に進みたいという強い思いで難関を突破する。まだ英語も十分に話せなかった留学先のカナダでABTへのあこがれを芽生えさせ、電子辞書を片手にバレエへの思いを膨らませ、夢を現実へと変えた。ニューヨークに着いたばかりの頃には9・11の衝撃が街を襲った。