清水は長野県白馬村のジャンプ会場にいた。「親に連れられて行ったけど覚えてない」。当時4歳。「五輪でメダルを」と夢を抱くのは小学1年でジャンプを始めてから。長野の歓喜は映像の記憶だ。伊東も同じ会場にいた。北海道下川町から地元出身の岡部孝信らの応援に駆け付けた。小学6年生は地鳴りのような大歓声の中に身を置き「かっこいい」と震えた。中学では野球をやるつもりでいたがスキーを選んだ。
小学4年だった竹内はテレビで観戦していた。当時、距離スキーをしていた少年は「夢をもらった」と、金メダルの光景に憧れてジャンプを始め、中学を卒業するとフィンランドに留学して技術を磨いた。
葛西は沸き返る観衆の中で1人悔し涙を流していた。直前に左足首を痛めてメンバーから外れ、ジャンプ台の横から原田雅彦(45)や船木和喜(38)が抱き合う姿を見た。「長野の悔しさがあった」から一線で戦い続けてきた。