本を破った者の意図がどうあれ、多くの人の心を傷つけている事実を軽くみてはならない。欧米ではとりわけ、今回の行為は反ユダヤ主義的なものではないかともみられ、日本のイメージを損ないかねない問題だ>と指摘している。
筆者もこの主張に全面的に賛成する。本件によって、「日本でアンチセミティズム(反ユダヤ主義)」が拡大しているという印象が強まれば、日本の国益に深刻な打撃を与える。
2月末、筆者が親しくする元イスラエル高官が来日した。筆者が、「『アンネの日記』破損事件について、イスラエルの受け止めはどうか」と尋ねると、友人はこう答えた。
「本件はイスラエルでも報道されている。イスラエルでは、第二次世界大戦中にユダヤ人救済のために努力した杉原千畝(ちうね)氏(元在リトアニア・カウナス領事代理)や樋口季一郎(きいちろう)氏(元満州国ハルビン陸軍特務機関長)の業績がよく知られているので、今のところ日本で反ユダヤ主義が拡大しているという見方を示す人はいない。この事件については、愚かな個人によって引き起こされたものなのならば、大きなハレーションはない。ただし、『アンネの日記』を破損した人に政治的背景があると、問題はかなり深刻になる。