1970年代末に始まった改革開放政策以降、朱鎔基(85)、温家宝(71)各氏ら歴代首相が30回以上政府活動報告を行ってきたが、特定の国を批判したことはほとんどなかった。中国の外交関係者は「全人代に向けた報告でここまで踏み込むと、今後、日本と関係を回復したくても軌道修正が難しくなる」と指摘した。そのうえで「政府活動報告は李首相個人の考えではなく、他の指導者の意見も盛り込まれているため、この部分は対日強硬派の習主席らの意向だろう」と指摘した。
李首相はこのほか、「国家の海洋権益を断固として守る」「平時の戦闘への備えと国境・領海・領空防衛の管理を強化する」と強調した。軍拡路線を鮮明にしたもので、東シナ海上空に続き、今後、南シナ海でも防空識別圏を設定する可能性を示唆した。
一方で、温家宝前首相がよく強調していた「政治体制改革」については言及がなかった。共産党内で深刻化している腐敗問題に関しても「使命と責任を意識し、人民の期待に応えるように努力する」と述べるにとどまり、温前首相が昨年言及した「民主的な監督、世論による監督を堅持し、権力のオープンな運営を実現する」といった改革派的な表現が消えた。さらに李首相は国防分野に言及した際、「軍隊の革命化」「軍における思想・政治教育をしっかり行う」といった近年、死語になりつつあった毛沢東時代の言葉を復活させた。