新聞は限られたスペースで記事を掲載する。見出しは文字数も少ない。ゆえに表現が不適切であれば、とんだ誤解を生じさせかねない。記者ならば皆自覚しているだろうが、最近の政治状況とメディアの報道ぶりをみると、意図的にもみえる「誤解」が実に多い。
安倍晋三首相は3月14日の参院予算委員会で、慰安婦募集の強制性を認めた平1993年の「河野洋平官房長官談話」について、「安倍内閣で見直すことは考えていない」と明言した。紙を見ながらの答弁だから、思い付きではない。首脳会談が途絶える韓国への明確なメッセージだった。
だが、首相は同時に、談話作成経緯の検証を行うことも強調した。「現時点では見直しを考えていないが、検証で間違いがあれば見直すこともある」と解釈できる。「見直さない」とは断言していないからだ。だが、朝日、毎日、読売、日経は「見直さず(見直さぬ)」と見出しをとり、「見直し考えず」は産経新聞だけだった。
こうなると、言葉が一人歩きする。検証が進み、談話の根拠である元慰安婦16人の聞き取りがいい加減だったことが実証されれば、河野談話は事実上無効となる。安倍政権で見直す可能性は十分あると思っている。