見直した場合、「見直さず」と書いたところは「首相が嘘をついた」とするだろう。不正確な引用だったのに、首相が悪役となるに違いない。
内閣法制局の小松一郎長官は(3月)11日の参院予算委で、集団的自衛権の行使容認を担保する自民党公約の「国家安全保障基本法」について、「首相は国会に提出する考えはないと思う」と答弁した。首相は14日の参院予算委で提出の有無を「決めていない」と述べたので、小松氏の勇み足のようにみえる。
だが、3月12日付朝刊で報じた朝日、毎日、東京のうち、朝日は「と思う」の部分に触れなかった。「法制局長官が首相の考えを勝手に言った」と解釈され、野党は「越権行為だ」と更迭を求めた。首相は以前から「自衛隊法などの改正」は例示したが、基本法には言及していなかった。それを紹介した小松氏は不適格なのだという。
細かい話かもしれない。だが、報じ方次第で事実と逆の方向に物事が進むとしたら、報道の責任は重い。そう自覚する日々である。(酒井充/SANKEI EXPRESS)