報告書は、大気汚染が急性呼吸器感染症や肺がんだけでなく、心臓疾患や脳卒中といった致命的な病気を引き起こしていると指摘した。内訳では、発がん性リスクが高いPM2.5など屋外の大気汚染が原因とみられる死者が約370万人なのに対し、屋内の汚染が原因とみられる死者は、それよりも多い約430万人と推計。両方が原因の死者もおり、全体では700万人と見積もった。
地域別では、中国や日本を含む西太平洋地域が約282万人、インドやタイなど東南アジアで約228万人、アフリカが約68万人とした。
屋外よりも深刻な問題と指摘された室内の汚染による死者の約9割が途上国で占められていた。こうした国では、多くの家庭でまきや石炭を使っており、室内に充満した粉塵(ふんじん)を吸い込み、肺疾患を発症し、死に至っているという。
東南アジアと西太平洋地域の低・中所得国では、屋内の汚染で330万人が亡くなったと推計。中国のほかインドやモンゴルも深刻な状況にある。こうした室内の大気汚染にさらされている途上国の人々は全世界で29億人に上るとしている。