2018年に打ち上げられる火星無人探査車の実験場「マーズヤード」を歩く欧州宇宙機関(ESA)の職員たち。火星に似せた赤茶けた土壌が広がるさまはまるで巨大な砂場だ…=2014年3月27日、英国・首都ロンドン郊外スティーブニッジ(AP)【拡大】
科学者らは「マーズヤード」を使って無人探査車が目標までの安全な走行ルートを割り出す技術の開発などをめざす。
ESAの科学・ロボット探査部門の責任者、アルバロ・ヒネメス氏はESAの公式ページで「この施設は、火星での無人探査車の自律走行を実現する洗練されたナビゲーションシステムの開発を可能にするだろう」とその役割を高く評価している。
エアバスの地球観測科学部門のトップ、ジャスティン・バーン氏もCNNに「火星から地球に信号を送るには20分かかる。そのため、無人探査車を地球から正しく操作するには時間がかかり過ぎる」と説明し、探査車を火星で正しく機能させるには「マーズヤード」での実験が不可欠であると強調。「われわれは生命の痕跡を探すため火星をめざすが、ここでの実験はそれに向けた重要なステップだ」と訴えた。
米独走に反撃
総事業費12億ユーロ(約2000億円)という「エクソマーズ」計画は、16年1月にまずオービター(周回衛星)と着陸実験機を打ち上げ、18年にこの無人探査車を打ち上げる。集められた地表の土壌サンプルなどは20年代に地球に持ち帰る。