6回、アドリアン・エルナンデス(右)を倒し、TKO勝ちで世界王者の座を奪取した井上尚弥=2014年4月6日、東京都・大田区総合体育館(今野顕撮影)【拡大】
高校生では史上初のアマチュア7冠という勲章は、父との誓いを守って努力を怠らなかった証しだ。プロに入ってからも練習に取り組む真摯(しんし)な姿勢はまったく変わらない。
天才的と言われるスピードは、スパーリング主体の調整で身につけた。手合わせをしたことがあるアマチュアのトップ選手は「コンビネーションの間隔など細かいところが速い」と印象を語った。
「必然的な記録」
世界王座は夢ではなく、現実的な目標だった。プロデビューしたころからずっと注目を集め、最速での挑戦すら本人は「覚悟していた」。記録ありきではなく、4戦目で日本、5戦目で東洋太平洋のタイトル奪取と一歩ずつ段階を踏んできた。しかもこれまですべて完勝だった。所属ジムの大橋秀行会長は「最速を狙ったわけではなく、必然的にそうなった。彼は日本ボクシング界の宝だ」と力を込める。