ハプニングは、試合後だった。この日、ノンタイトル戦でフィリピン選手を3回TKOで破った「軽量級世界最強」ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がリングに上がり、八重樫の左手を挙げたのだ。対戦をアピールするゴンサレスに、防衛を果たした八重樫も周囲に「やってもいいですか」。
ファンは略称で畏敬を込めて「ロマゴン」と呼ぶ。アマ87戦87勝、プロ39戦全勝(33KO)。ミニマム、ライトフライで世界2階級を制覇し、今年1月、フライ級に転向した。09年7月、WBAミニマム級防衛戦で高山勝成(真正-現仲里、現IBFミニマム級王者)を下して以降、日本人選手との対戦はない。強すぎるからだ、と誰もが言う。
そのロマゴンと、八重樫は「やる」と宣言した。フライ級には井岡も転向を宣言したばかり。井上もライトフライへの減量は限界が近づいているという。この4人を軸に、群雄割拠の伝統階級がにぎやかになりそうだ。(EX編集部/撮影:今野顕、AP、ロイター/SANKEI EXPRESS)