「運動は終わりではない」。林氏がこう強調したのは、2016年次期総統選を占う今年11月の統一地方選に向け、政権に揺さぶりをかける狙いからとみられる。最大野党、民主進歩党は運動を支持してきた。
協定を通じて中国が台湾への影響力を強めることへの懸念は根強く、最近の民放世論調査では65%が「運動は台湾の民主発展に寄与した」と好意的に評価した。馬氏は今後も困難な政権運営が予想される。(台北 吉村剛史/SANKEI EXPRESS)
≪「馬総統の焦りが引き金」≫
■小笠原欣幸(よしゆき)・東京外国語大准教授(台湾政治) 台湾の学生らの行動に多くの同情や共感が集まった背景には、馬英九総統が就任以来維持してきた「経済では中台の緊密化、政治では一定の距離」の微妙なバランスが怪しくなったことへの警戒がある。台湾メディアで馬氏のアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席や中国の最高指導者、習近平氏との首脳会談の憶測報道が増えるにつれ、馬氏が個人的な手柄のために何かを犠牲にするのではないかという危惧が広がった。