サービス貿易協定自体は利害が複雑に入り組み台湾側に有利な要素もあるので、簡単に「これで台湾がおしまいになる」と概括できるものではない。だが、関連業界への説明など準備工作が最初から足りなかった上、焦って協定の批准に突き進んだことが疑念を一層かき立てた。学生らは強烈なパフォーマンスによって、中国に呑(の)み込まれたくないという台湾人の感情を表出させることに成功した。
今回の事件によって、馬氏のAPEC出席の可能性は完全に消え、馬・習会談の可能性もほぼゼロになった。今後、中台間の実務協議は続くが、そのペースはスローダウンする可能性が高い。ただ、中国が統一工作の手を緩めるわけではないので、台湾内部では揺れが続くだろう。(談)
■サービス貿易協定 中国と台湾の金融、保険、電子商取引などサービス分野の市場開放を定める協定。双方の窓口機関が昨年(2013年)6月に調印し、台湾は承認手続きに入った。2010年9月に発効した事実上の自由貿易協定(FTA)に当たる「経済協力枠組み協定(ECFA)」で締結することに合意していた。